転倒により骨折した高齢者が、そのまま寝たきりになるケースは少なくありません。23区内でも高齢者人口比率が高い荒川区では、健康に活き活きと暮らせる様々な施策を展開しています。そのひとつが転倒予防体操である荒川ころばん体操/荒川せらばん体操です。 この体操は、転倒を未然に防ぐための足・腰・腹部の筋力アップやバランス感覚の向上、歩行能力の改善を目的に、荒川区と荒川区内にある首都大学東京(旧都立保健科学大学)が共同で開発しました。
荒川ころばん体操の「ころばん」は「ころばない」という意味です。また、荒川せらばん体操の「せらばん」はセラバンドから取ったもので、虚弱高齢者の筋力向上のために開発されました。


「荒川ころばん体操」は、椅子さえあれば何処でも始められます。椅子に腰掛けたり、背もたれに掴まったりしながら「あらかわの…あ」と歌いながら空中に足で文字を書くなど、オリジナルの曲に合わせた36種類の運動を17分で行います。1日2回、週2回を3カ月行うことで、身体機能の低下を防止し、転倒リスクを軽減することが期待できます。
「荒川せらばん体操」は、セラバンドという病院などでリハビリに使用される幅14cmで長さ2mの薄い帯状のゴムバンドを使用した体操です。伸ばしたセラバンドの戻る力に逆って、筋肉に負荷をかける筋力向上トレーニングをオリジナルの曲に合わせ、10分行います。これらの運動を続けることで「立つ」「しゃがむ」「歩く」といった基本動作の他に日常の動作が楽に行えることが期待できます。

平成15(2003)年9月から、荒川ころばん体操推進リーダーが中心となり、区内18会場で区民を対象に、荒川ころばん体操教室を開催しています。参加者は、40〜90代後半までと幅広く、平均年齢は71歳です。
平成15年(2003年)9月〜16年3月の半年間は約500人の参加者でした。しかし、平成17年(2005年)1月〜7月までの間、口コミで更に広がり、約1100人を記録するなど、徐々に増加しています。
荒川ころばん体操の効果は、体力測定の結果、開眼片脚立や10m歩行速度、最大一歩幅などに改善が見られたと報告されています。 「一緒に体操をする仲間に会えるのが楽しみ」という参加者も多く、地域交流の場になっています。

「スムーズに立てるようになった」「足の痛みが取れた」「よく眠れるようになった」「食欲が増加した」「肩こりが軽くなった」「散歩をしても疲れなくなった」「降圧剤や糖尿病薬が減った」などの声が寄せられています。
また「体操を続けて行くことで体力がつき、活動範囲が広がることで気持ちも前向きになった」とか「体操を通じて友達の輪が広がり、会場に通うのが楽しくなった」など精神面でのプラス効果もあるようです。

リーダーになるには、荒川区高齢者保健福祉課が実施しているリーダー養成講座で、約3ヶ月間19回に渡る講義・実技に参加します(受講料は無料)。
講座内容は、体操の考案者である山田拓実准教授による実技指導、体操の効果測定の仕方など体操指導に必要なノウハウがあります。また、うつや認知症についての学習、高齢者が生活しやすい住宅の工夫など多岐にわたります。
区内では、講座終了後も毎月のように交流会を行い、情報交換とレベルアップを図っています。さらに同様の転倒予防体操を実施している他地域の視察も行い、リーダーとしてのスキルアップに努めています。
平成17年(2005年)9月時点での体操リーダーは区内で166名が登録されています。体操を地域に広め普及活動を行うことにより、地域の健康を守る役割を担っています。

荒川ころばん体操は、区内18カ所の会場で無料開催されていますが、体操だけではなく和やかに楽しめる方法を、各会場のリーダーが工夫しています。例えば、皆で「荒川区・そして未来へ」やフォークダンス、「きよしのズンドコ節」を踊ったり、ゲームやレクリエーションを組合せたおよそ1時間30分のプログラムですが、荒川せらばん体操を組み入れた会場も徐々に増えています。

初めて体験したのですが、足の筋肉を動かしたりいい運動になりました。普段動かさないところを動かしたので、筋肉が痛いところもありますが、こうやって運動するのはいいですね。これから近くの会場に2人で通ってみようと思います。

普段使わない筋肉を使うのでいい運動になり、終了後は「やった」という達成感があります。私たちが通っている会場では、踊りなども行っていて楽しいですよ。実際に体操を始めてから体の動きが良くなり、体重も減りました(笑)。この体操のおかげで元気でいられるのかも知れませんね。
誰でも手軽に、しかも無料で健康作りに役立てることができる荒川ころばん/せらばん体操。荒川区、首都大学東京 健康福祉学部、区民の三者が一体となって取り組んでいます。興味をお持ちの方は、ぜひ荒川区高齢者保健福祉課にお問い合わせ下さい。
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